今回はテキスト中心で少々回りくどくエチュードの有用性について書いていきます。
何をするにしても一般的には「基礎練習は大事である」と言われます。
ギターを弾く事に関してもそれは同様で、私も「大事である」という事には賛成します。
ギターを弾く事に関して、何故基礎練習が大事と言えるのかと言うと、自由に音楽を表現する身体能力を向上させる事と音楽の理解を深めて表現力を向上させる為に大変合理的で都合がよいと思えるからです。もちろん、向上のみならずその能力をキープする役割もあります。
ギターを演奏するには、エレキ、フォーク、クラシック、フラメンコ・・・それぞれのスタイルの違いはあれど共通して左右の手を通して弦を押さえ、はじいて演奏します(タッピング等の特殊技法は少し違いますが)。また、同様に演奏スタイルによって若干の違いはありますが、体幹を中心にして楽器を支えつつ演奏するという点も共通しています。
また、五線譜とギターについての項目で書いたようなギターの楽器としての性質を理解した上で音楽に取り組む必要が出てきます。
ギターという楽器は今日ではありふれていて、簡単そうに見えるかも知れませんが、いざ本格的に取り組むとなると案外入り口が複雑だったりするのです。
大きく分けて下記二つの事が出来れば音楽表現が可能な状態になる事でしょう。
1、身体能力向上と左右シンクロを安定させるプログラム。どちらかというとスポーツ感覚で、思い通りに楽器で「音が出せる」ようになっていくプログラム。スケール、スラー、アルペジオ等、音楽理解の基礎にもなるが比較的シンプルな構造で運動性能を向上させるのに特化したものが好ましい。
2、音楽表現を理解・表現する為のプログラム。旋律の表現、リズムの理解とコントロール、和音の仕組みの把握と音楽における和音進行の特長、拍子と強弱等の理解、etc…楽典で書かれているような内容を合理的に理解して習得していく。…こちらの方が本来は重要だが、概ね1がうまく行っていないと2を集中して深めていく事が難しくなる。
さて、上記のような事を踏まえて演奏能力・音楽表現能力を身に着けていく為の基礎を自ら考えるにはかなりの経験と試行錯誤が必要になるのではないでしょうか。
よほどギターに相性の良い方や天才的に頭の働く方は経験をすっ飛ばして自ら必要な事を発見しつつ上達するというケースもあるでしょうが、殆どの場合そう簡単には行きません。
ここで、役に立つのが偉大なる先達の残した練習プログラム「エチュード」です。
特にクラシックギターのものとなると、19世紀頃から大変有用なエチュードが多数作られており、今日でも多くの人々に有効利用されています。
フェルナンド・ソル、ナポレオン・コスト、マウロ・ジュリアーニ、マッテオ・カルカッシ、フランシスコ・タレガ、エイトール・ヴィラ=ロボス・・・他にも多くの作曲家やギタリストのエチュードが存在します。
目的や技術レベルによってそれぞれの学習者に最適なエチュードは異なりますが、私のクラスではクラシックギターを学習する初級者の方の場合はコストのエチュード(ソルのメソードに基づいて編纂されたもの)やカルリのエチュード等を進める場合が多いです。
カルリのエチュードはギターを弾く動きをシンプルに理解するのに向いており、ソル(コスト)のメソードはギターで音楽を理解・表現する為のエッセンスに溢れているからです。
クラシックもポピュラーもジャズ等も・・・基礎の基礎は同じです。上記の歴史に名を残したギタリスト、作曲家達のアイデアは共通して役に立つのです。
クラシックギターを学ぶ方以外の生徒さんには、ジャンルごとにそれらの知識や経験をアレンジして流用し、指導していきます。
具体的にご自身に合ったプログラムを見つけたい方はご相談下さい。
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・・・最後は自分の指導法の宣伝みたいになってしまいましたが、このさい開き直って、さらに宣伝フレーズを。
伝統に基づいたバックグラウンドに支えられつつ現在の音楽も学べる当教室のレッスンに是非お越し下さい。
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